私ってドライマウス??

もしかして「私ってドライマウス」と思っている方、あるいは「少し声が枯れてきたみたい」と思っている方で、お口の中の粘膜に痛みがある方はいませんか。

だいぶ以前にNHK教育テレビで放映された「気になる口の乾燥 ドライマウス」(2008年3月19日放映)の中で、鶴見大学の中川先生(歯学部講師、当時)が、ドライマウスの症状で乾燥の次に多いのが、「痛み」であると説明されていました。そしてその原因は、中川先生によれば、何と、カビが関係しているとのことでした。

番組の中で中川先生は、

口の中の痛みに「カンジダ菌」という真菌がかかわっていることがわかってきました。カンジダ菌は、ふだんから口の中に存在する菌で、通常は特に問題はありません。しかし、ドライマウスで抗菌作用をもつだ液が減少して、カンジダ菌が増加すると、粘膜に炎症を起こして痛みが生じます、

と説明されています。

日常臨床では、原因不明の痛み、特に舌や粘膜の痛みを訴えて来院される患者さんがおられます。日本歯科医師会などでは、まずは歯医者さんに相談し、舌の状態を良く観察してもらい、炎症などがあれば軟膏やうがい薬を処方してもらうことを勧めています。

ただ開業医では粘膜の精密な検査などができないので、舌に大きな異常が見あたらない場合、大学病院などを紹介してより詳しい検査をお勧めする場合もあります。
この過程で、お口のなかのカンジダ菌により舌痛が起きていたことが分かり、お薬で治療することがあります。

カンジダ菌は誰もが持っている常在菌ですが、全身の病気や加齢に伴う免疫力が低下、喫煙や薬剤の長期服用の影響でだ液の分泌量が減り、口腔内が乾燥してカンジダ菌が増殖する場合があります。

ドライマウスは「痛み」だけではなく、口臭を生じたり、口腔乾燥による咀嚼力の低下、会話の不調などのQOL(Quality of Lifeの略。「生活の質」)の低下を招くとされているため、近年、ドライアイと同様に現代人を悩ます症状として社会的な関心が高まっています。

大手製薬会社ロート製薬の最近の調査では40%以上の人がドライマウスで不快な思いをしたことがあるとのことです。同社の研究では、魚類から抽出した「プロタミン分解ペプチド」というタンパク質がカンジダ菌を減少させることが臨床試験で確認されているとのことで、生体に優しい新商品の開発、商品化が進みそうです。

このプロタミン分解ペプチドと呼ばれるタンパク質は食品として広く使用されており、手軽に使える抗カンジダ菌作用タンパクとして期待されている。