お口の元気度

最近何となく、かたいものが咬みづらい。食べ物を飲み込みにくい気がする。・・・そんな不安はないでしょうか?食べ物をのどに詰まらせて亡くなる事故は年間約4千件起きています。その多くは高齢者の方々です。かんだり、のみこんだり、口の機能は加齢とともに気付かないうちに徐々に低下します。

このほど札幌市の西円病院の藤本篤士歯科診療部長と、財団法人ライオンしか衛生研究所(東京都墨田区)、新潟大、日本歯科大の研究グループは、食べ物を口に入れてからのみこむまでの口腔機能を、「口のまわり」「かむ力(咀嚼機能)」「のみこむ力(嚥下機能)」「口の清潔さ」という4つに整理しました。これまでに提案され、実施されている様々な検査法を検討して、「口の元気度」を総合的に評価する方法を考えました。

  • 指2本分以上、口を大きく開くことができる
  • 左右のほおを片方ずつ膨らませられる
  • 酢だこやスルメをそのままかんで食べられる
  • 半年前も今も、かたいものがよくかめる
  • 半年前も今も、食べ物を普通にのみこめる
  • 30秒間に3回以上唾液をのみこめる
  • 5秒間に「タタタ・・・・」と24回以上言える
  • 5秒間に「カカカ・・・・」と24回以上言える
  • 1日3回以上歯を磨く
  • 口の中が乾燥して、夜、目が覚めることはない

1、2は口のまわり、3、4はかむ力、5~8はのみこむ力、9、10は口の清潔さをチェックする質問です。7の「タ」は舌の前方、8の「カ」は舌の後方の動きに関係があります。紙とボールペンを用意して2人1組で紙の上に点を打って数えあってみましょう。答えが全部「はい」なら口はとても元気。「はい」が少なかったところは改善プログラムに取り組みましょう。

自分の弱点がわかったら改善に取り組みましょう。

<改善策>

口のまわりは積極的にほおや唇を動かすこと。歌が好きな人はカラオケ、ハーモニカなど楽器の演奏もよい。吹き矢、ダーツ、風船artなど、楽しみながらするのが続けるコツ。ほかに顔ジャンケンも効果的です。

咀嚼機能は意識的にかんだり、唾液腺をマッサージするのが効果的。唾液腺マッサージは上の奥歯のあたりの耳下腺や、あごの下にある舌下腺を5~10回、親指でやさしく押して刺激するとよい。

嚥下機能の向上には、舌を出したまま唾液をのみこむ、首や腰に痛みがない人は、仰向けに寝て頭を少し上げ、つま先を見る体操をするなどが有効です。

口の清潔さを保つには、義歯の手入れや、舌、粘膜などの掃除をこまめにします。

実際に約70人の高齢者に上記のプログラムに取り組んでもらったところ、3ヵ月後には、かむ力、のみこむ力などそれぞれで改善が確認できたという。

朝日新聞3月24日号より抜粋